バロックからベートーヴェンまでの18世紀音楽を専門とする指揮者。1963年に一早く、バロック音楽を啓蒙することを活動の大きな柱としてテレマン・アンサンブル(現・テレマン室内管弦楽団)を創設。彼らを率いて「大阪文化祭賞」をはじめ「文化庁芸術祭・優秀賞」(関西初)等の数々の賞を受賞。なかでも1986年の「第17回サントリー音楽賞」(関西初)の受賞は大きな反響を呼んだ。

テレマン室内管弦楽団やバロック楽器の団体「コレギウム・ムジクム・テレマン」、そして自身が指導するテレマン室内合唱団とともに、教会の聖堂を舞台としてJ.S.バッハ「マタイ受難曲」あるいはマテゾン、テレマン、ヘンデル、カイザーが競作した「ブロッケス受難曲」など本邦初演の18世紀のオラトリオや宗教曲を次々に公演。又、その活動は18世紀の作品を超え、W.A.モーツァルト「レクイエム」、F.J.ハイドン「天地創造」、「四季」、M.ハイドン「レクイエム」、ベートーヴェン「荘厳ミサ曲」、フォーレ「レクイエム」等へと拡張を続け、レパートリーの豊富さは他の追随を許していない。

器楽曲のレパートリーは更に広く、J.E.ガーディナー、F.ブリュッヘンやC.ホグウッド、G.ボッセといった指揮者のほか、M.アンドレ、F.アーヨ、M.ラリュー、J.ランパル、H.J.シェレンベルガー、P.ダム、A.ビルスマ、J.ヴァーレーズ、B.ジュランナー、G.カー、など、各ジャンルの名手たちとの共演を重ねてきた。

延原を語る上で特筆すべきは「第九」、「ウィーン古典派はバロックの視点から解釈するほうが、現代から遡ってみるよりもより自然なものになる」という発想から、1982年、延原はベートーヴェンの交響曲第9番を初演当時の編成で、しかも当時のメトロノームのテンポ指定に基づいて演奏。この新鮮な解釈は「世界初」であり、画期的な試みとして迎えられた。J.E.ガーディナーやC.ホグウッドら古楽系の指揮者が「100人の第九」の演奏テープを参考にするため自国に持ち帰っている。

「100人の第九」と題された当公演は人気シリーズとして現在でもザ・シンフォニーホールにて公演継続中。2006年秋には「100人の第九」をCD化。更に11月にはクラシカル楽器による演奏団体「ピリオド・インストゥルメント・プレイヤーズ」(PIP)を立ち上げ、初演当時の第九を公演。

指揮者としての延原武春の活動は近年とみに盛んになっており、国内はもとより、ヨーロッパ、韓国のオーケストラより招聘を受けている。今までにライプツィヒ放送オーケストラ、2006年にはオーケストラ・アンサンブル金沢第208回定期演奏会にて、同団体の十八番ともいえるベートーヴェン「交響曲 第7番」を、さらに2007年2月には8年ぶりに九州交響楽団を指揮し、9月には日本フィルと、ベートーヴェン「交響曲 第6番」を好演。いずれも延原ならではの新鮮な切り口をみせ聴衆を魅了した。

尚、2008年には自ら創設した協会の創立45周年記念事業の一環として「クラシカル楽器による"L.v.ベートーヴェン交響曲全曲演奏&荘厳ミサ曲"」を、日本初の試みとして同年3月より10月迄の間に行ない、日本国中より大きな注目を集めたのは記憶に新しい。

〔主な受賞歴〕

  • 1977年 「文化庁芸術祭 優秀賞」
  • 1983年 「神戸市文化奨励賞」
  • 1984年 「第4回井植文化賞」
  • 1986年 「サントリー音楽賞」
  • 2000年 「平成12年度兵庫県功労者表彰(県民生活振興功労賞)」
  • 2002年 「平成14年 第37回大阪市民表彰」
  • 2004年 「平成16年 神戸市文化賞」

  • −他−

1964年東京に生まれる。幼少時代をブラジルのサンパウロで過ごし、州立大学の特設講座にてヴァイオリン・和声・対位法を学んだ。'75年にサンパウロ市ベストアーティスト賞受賞。都立芸術高校を経て東京芸術大学入学。在学中に「ヴァンガード四重奏団」を結成、ヴァイオリン、ヴィオラ、編曲、作曲を担当。'93年にカーニバルカンパニー・カメレオンオーケストラ(C3O)を橋爪恵一、山田武彦と共に結成、パスティーシュと即興の技巧を駆使した新しい様式を確立した。'87年よりCOBAのライヴやレコーディングに参加。東京シティー・フィル、新星日響、九響、仙台フィルのコンサートマスターを経て、現在は名古屋フィルのコンサートマスター。日本作編曲家協会、三島由紀夫研究会会員。名古屋芸術大学特別客員教授、名古屋音楽大学特別講師。

福岡においては、九大フィル、OBフィル、福岡市民オケ、久留米市民オケ、その他のトレーナーを務める。2002年より7回にわたって、フィルハーモニア福岡の定期演奏会を指揮。2005年よりフッペル平和記念鳥栖ピアノコンクールの本選および受賞記念コンサートなどにて福岡室内合奏団を指揮。九州室内管弦楽団メンバー。